健康を意識して伊藤園の「1日分の野菜」という野菜ジュースを飲んでいるのですが、野菜ジュースだけで本当に栄養が足りているのかという疑問を以前より抱いています。
商品名を信じるのであれば「1日分」の野菜を摂取していることになるはずですが、実際のところどうなのでしょうか。
気になったので調べてみました。
伊藤園 1日分の野菜
私が毎朝飲んでいる野菜ジュースは伊藤園の「1日分の野菜」です。
数ある野菜ジュースの中でもこの商品を選んでいる理由は商品名の通り、コップ一杯で「1日分」の野菜が摂取できるから。
他製品でコップ一杯で「一食分」の野菜を謳っているものもありますが、どうせ飲むなら1食分よりも1日分の方がいいですよね。
伊藤園によると主要な生野菜350gの成分を算出し、自社基準で栄養を摂取できるように商品設計しているとのこと。
生野菜350gという基準がどこから来たかというと、厚生労働省が掲げている「健康日本21」という提言にて記載されていた摂取量です。
伊藤園のHPを見るに栄養素という観点ではジュースにする過程でロスされる栄養素もカバーしているという表記もあり信用しても問題なさそうです。
HPによると使用している野菜は30種類にもおよび、それらの原産地まで掲載されているほどのこだわりっぷり。
これだけを見るとジュースだけで野菜は摂取できそうな気がしますが、より詳細に調べてみることにしました。
「1日分の野菜」の栄養素
「1日分の野菜」のコップ一杯あたりの栄養素はこのようになっています。
この中でも気になる栄養素をピックアップして検討していきたいと思います。
今回、栄養素を検討する上で参考にしたのはglicoの栄養成分ナビゲーターというページです。
このページでは日本人の食事摂取基準(2020年版)が表で示されているので引用させていただくことにしました。
ビタミンA
1日分の野菜コップ一杯に含まれるビタミンAの量は430〜1500μgです。
振り幅が大きい点が気になりますが、野菜以外からも摂取できる成分なので問題ないと思われます。
ビタミンAが多く含まれる食品は豚や鶏のレバー、鰻、バターなどが挙げられます。
ビタミンC
1日分の野菜コップ一杯に含まれるビタミンCの量は60〜200mgです。
ビタミンCが多く含まれる食品がじゃがいも、赤ピーマン、ブロッコリー、レモン、キウイなどの野菜や果実が多いことを考えると摂取量としては心許ないかもしれません。
水溶性のビタミンCは過剰摂取しても尿中に排泄される成分なので身体が疲れやすい人はサプリメントで摂取すると良いでしょう。
ビタミンE
1日分の野菜コップ一杯に含まれるビタミンEの量は1.1〜4.7mgです。
ビタミンが多く含まれている食品としては鰻やぎんだら、にじますといった魚類やアーモンドなどのナッツ類、豆乳、かぼちゃなどがあげられます。
通常、私たちが食べるような野菜ではかぼちゃぐらいしか代表的な作物がないのでジュースの成分量で気にする項目ではないかもしれません。
ビタミンK
1日分の野菜のコップ一杯で摂取できるビタミンKの量は3〜15μgです。
1日の推奨摂取量と照らし合わせてみると1日分の野菜では全く摂取できていないことがわかります。
ビタミンKが多く含まれている食品はほうれん草やブロッコリー、キャベツなどの野菜やチーズ、納豆などが挙げられます。
特に、納豆は1パックで300μgのビタミンKを摂取できるので納豆を食べていない人は野菜から摂取せねばなりません。
野菜ジュースで野菜から摂取できるほどのビタミンKは補充できないので野菜の代替にはなり得ないと言えるでしょう。
ビタミンKは骨粗鬆症の予防に効果がある成分とされているので、エストロゲンが急激に減少し骨密度が気になる更年期以上の女性は特に気をつけておきたい成分です。
葉酸
1日分の野菜のコップ一杯で摂取できる葉酸の量は10〜113μgです。
推奨量と比較すると非常に少ないので野菜ジュースでの摂取は期待できない成分と言えます。
特に、葉酸は妊娠を考えている女性は未来の胎児のために体内に蓄えておかねばならない成分ということで1日あたり400μg以上の葉酸を摂取せねばなりません。
葉酸が多く摂取できる食品は枝豆やモロヘイヤ、ほうれん草といった野菜や焼き海苔や味付けのりがあげられます。
特に焼き海苔と味付けのりは100g当1600〜1900μgの葉酸を含んでいるので手軽に摂取できる食材として知られています。
ただし、のりは一枚約3gである点に注意が必要です。
のり一枚に含まれる葉酸の量は単純計算で48〜57gになるので400μgを越えるためには毎日9枚食べねばなりません。
のり9枚であればよほどのりが嫌いでない限り余裕ですよね。
より手軽な摂取方法としてはエレビットという産婦人科でおすすめされているサプリが挙げられます。
エレビットは産婦人科や調剤薬局に加えてAmazonでも販売されているので興味のある方は問い合わせてみてください。
カリウム
1日分の野菜のコップ一杯に含まれるカリウムの量は655mgです。
目標量と比較してみると、野菜ジュースでは全く足りていないことがわかります。
カリウムが多く含まれている食材は里芋や大根、ほうれん草、かぼちゃ、ジャガイモなどの野菜に加えてバナナやリンゴなどの果物、豆類に乾燥わかめなどが挙げられます。
特に含有量が多い食材は里芋などの根菜類でした、
肉や魚介類はこれらの食材と比較すると摂取できる量が少ないので野菜を摂取することは重要であると言えるでしょう。
カリウムは摂取量が多いので今回参考にした「まつもと薬局」のページで食材ごとの含有量をチェックしてみても良いかもしれません。
マグネシウム
1日分の野菜コップ一杯に含まれるマグネシウムの含有量は45mgです。
推奨量と比較すると大きく不足していることがわかります。
マグネシウムが多く含まれている食材はあおさや青のり、わかめといった海藻類やナッツや大豆、魚介類などが挙げられます。
野菜ではそこまで多くないようなので野菜ジュースが劣っているわけでもないようですね。
参考:くすりの健康日本堂
食物繊維
1日分の野菜コップ一杯に含まれる食物繊維の量は1.3〜3.1gです。
目標量と比較すると野菜ジュースでは明らかに不足していますね。
文部科学省食品成分データベースによると100gあたりの食物繊維の量はこのようになっていました。
- こんにゃく 79.9g
- あらげきくらげ 79.5g
- てんぐさ(粉寒天)79.0g
- てんぐさ(角寒天)74.1g
- 凍みこんにゃく 71.3g
- しろきくらげ 68.7g
- 干しわらび 58.0g
- きくらげ 57.4g
- えごのり(素干し)53.3g
- 干しひじき 51.8g
これだけをみるとあまり野菜に食物繊維が含まれていない印象を受けたので野菜に絞って調べてみました。
その結果、日常的に食べる野菜ではごぼうが5.7g、芽キャベツが5.5g、ブロッコリーが4.4gそれぞれ含有されていることがわかりました。
(参考:AGCL)
こうしてみてみると、意外と日常的に摂取している野菜の量では食物繊維が摂れていないことがわかります。
少し意外でしたが、食物繊維の含有量は野菜ジュースだから少ないということでもないようです。
糖質
野菜ジュースと健康を語る上でよく言われることは「野菜ジュースは糖質が多いので健康に悪い」というお話。
甘みを出すために砂糖でも入れている製品が多いからそのような認識が広がっているのかなと個人的には考えています。
1日分の野菜のコップ一杯に含まれる糖質は14.9gですが、これは果たして多いのでしょうか?
森永製菓によると摂取すべき糖質の量は1日のエネルギー量によって変動するようです。
そこで、Ke!sanという基礎代謝をざっくり計算できるサイトで私の1日のエネルギー料を算出してみることにしました。
車通勤かつ車移動のMR職の宿命である運動不足によって肥満の仲間入りを果たした私の基礎代謝量は1753kcalのようです。
森永の表を見ると大体私は250g摂取せねばならないようです。
こうしてみると1日分の野菜に含まれる糖質は14.9g/250gということになるので実質無視できるレベルなのではないかという印象を受けます。
果物を食べることがほとんどないということを加味すると私の生活スタイルであれば神経質になりすぎなくてもいいような気がします。
一方、基礎代謝の低い妻のような小柄な女性であれば糖質には多少敏感になったほうがいいかもしれません。
基礎代謝が低い=1日に摂取できる糖質の量が少なくなるということを意味するので野菜ジュースで摂取する糖質の量の比率が相対的に高くなる傾向があります。
個人的にはお菓子を食べるよりは全然少ない量だと思うのでさほど気にしないのでいいのではないかと考えています。
まとめ
最後に、野菜ジュースが野菜の代わりになるのかまとめて終わりたいと思います。
さまざまな栄養素を検討した結果、野菜ジュースでは野菜の代わりにはならないということがわかりました。
特に野菜が主要な摂取源であるビタミンC、ビタミンK、カリウムが不足しているので野菜ジュースのみでは不十分です。
野菜ジュースは飲まないよりはマシなドリンク型のサプリメントとして扱い、しっかりと野菜を食べる食生活を心がけることが健康のために何よりも重要であると言えるでしょう。
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