国産牛肉が豚や鶏肉より高価な理由と肥育ホルモンのヒトへの影響

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スーパーで買い物をしているときに他の肉と比べて牛肉が高い理由が気になりました。

国産は当然のことながらアメリカやオーストラリア産の牛肉でも国産の豚肉の数倍高価な価格設定になっています。

なぜ牛肉だけがこんなに高いのでしょうか。

気になったので調べてみました。

目次

飼育期間や餌代が背景に

牛肉が高価な理由は豚や鶏と比較して飼育期間が長く、餌代などのコストも高いことが背景としてあるようでした。

それぞれの飼育期間はこのようになりました。

  • 鶏:30~40日
  • 豚:6ヶ月
  • 牛:29ヶ月

体が小さいほど出荷までの時期は早く、鶏は1ヶ月程度で出荷できるのに対して牛は出荷まで29ヶ月もかかります。

それだけでなく、繁殖力(一度に子を産む数)の差も影響してきます。

豚は年に2回一度に10頭前後出産するようですが牛は一年に1頭しか産むことができません。

繁殖サイクルが長いほど餌代や飼育員の人件費などが嵩んでいくので牛肉は高価になるんですね。

次は畜産物1kgの生産に必要な穀物量=餌代を見ていきたいと思います。

農林水産省

やはり体の大きい牛の方が圧倒的に餌代がかかることがよくわかります。

手間隙も他の畜産物の比ではないのでその労力が市場価格へ反映されているのは当然です。

外国産の牛肉が安い理由

牛肉が豚や鶏と比較して高価な価格設定となる理由は理解しました。

次に気になるのが外国産の牛肉が安い理由です。

国産と比較すると3〜5割ぐらい安いのでついつい外国産に手が伸びてしまいますよね。

外国産の牛肉、今回はアメリカ産に焦点を当てて安い理由を調べてみたところ以下の3点がその要因として挙げられていました。

  • 広い国土を活かして大量生産できる点
  • 肥育ホルモン剤の投与による成長促進
  • 安い人件費

(参考:ひょうたんコム)

国土と人件費に関しては想像の通りというところだと思いますが気になるのが肥育ホルモン剤です。

肥育ホルモンはかつて成長ホルモンと呼ばれていたステロイドホルモンのことを指します。

この肥育ホルモンを投与されて育った牛は成長が早く、赤身が多い肉質となるようです。

だから安い外国産のお肉には赤身が多いものしかないんですね。

そこで気になるのが国産牛です。

国産牛は外国産の牛肉と比較して霜降り肉、つまり脂の多い肉質であることが特徴として挙げられます。

赤身が少ないということは肥育ホルモンを使用していないのでしょうか?

日本国内では肥育目的のホルモン剤投与は認められていない

結論から言うと日本国内では肥育目的のホルモン剤投与は認められていないとのことでした。

だから脂身の多い霜降りな肉質に育っているんですね。

肥育ホルモン剤について少し突っ込んだ話をすると2種類に分類することができます。

それぞれ天然型ホルモン剤と合成型ホルモン剤と呼ばれています。

天然型ホルモン剤はその名の通り生体由来の自然界にある成分です。

牛に投与されている成分としては17β-エストラジオールやプロゲステロン、テストステロンが挙げられます。

17β-エストラジオールやプロゲステロンは牛だけでなく女性の体内でも分泌されており、いわゆる女性ホルモンと呼ばれている成分です。

合成型ホルモン剤は天然型のホルモン(17β-エストラジオールやプロゲステロン)をベース骨格として生体への影響を目的に応じて人工的に調整(吸収効率や半減期の延長、他の薬剤との相互作用の低減など)して開発した成分のことを指します。

そのため、基本的に生体への作用はベースとなっている天然型のホルモン剤と同様の効果を示します。

(参考:矢野畜産様。獣医師監修なだけあってかなり詳細に書かれているので時間と興味のある方は一読することをオススメします。)

肥育ホルモン剤の人体への影響

肥育ホルモン剤がどのような製剤であるかはわかりました。

そこで気になってくるのが肥育ホルモン剤の人体への影響です。

MRという職業柄このようなトピックは気になったので深掘りしてみることにしました。

ニュースなどで肥育ホルモンには発癌性があると報道されているので人体へ悪影響をもたらすといったイメージを持っている人が多いのではないかと思います。

そのイメージは概ね間違っていないのですが、全面的に正しいのかと言われるとそうでもありません。

先程説明したように、牛に投与されている肥育ホルモンは天然型or合成型の女性ホルモンです。

女性ホルモンは元々人間の体内にある成分(合成型は似たような働きをする成分)なので肥育ホルモン=毒というわけではありません。

ではなぜ発癌性があると言われているのでしょうか。

その理由は女性ホルモン(ここでは17β-エストラジオール)依存的に増殖するガンがあるからです。

女性ホルモンによって増殖するガンの代表は乳がんや子宮体癌などです。

これらのガンは女性ホルモンに晒される期間や量が長いほど発癌リスクが上昇するという特徴があるので、基本的には外部から摂取したくない成分です。

(月経困難症や更年期症状で処方されるホルモン剤は医師の管理の下にがん検診などのリスク管理をしながら治療を行うので心配しすぎる必要はありません)

肥育ホルモンが多く残留している牛肉を継続的に食べると、肉に含まれている肥育ホルモンに長期間さらされてしまうことになります。

その結果、身体に思わぬ影響が現れることがあります。

例えば乳がんなどの女性ホルモン依存性のガンの発症。

その他にも肥育ホルモンが残留した牛肉を継続的に食べたことによって思春期よりも前に乳房が発育したり月経が発来する児童が続出したことでアメリカ産牛肉の輸入を欧州では全面的に禁止されていたこともあります。

現在ではこのようなことが起こらぬように各国で残留したホルモン剤の規制と検査を輸入時に厳格に行なっているので心配しすぎる必要はありません。

基準値は人体への影響などを医学的に検証して策定されているからです。

ですが、規制によって完全に肥育ホルモンが残留していない(基準値内であるケース)というわけではないことも事実です。

そのため、少ない量でも成人より影響を受けやすい子供の食事については気になるのであれば国産の食肉を使用したほうが精神的によろしいかと思います。

我が家では赤ちゃんの離乳食は全て国産の食材を使用するようにし、私たち大人の食事は懐事情に合わせて国産と外国産を選択しています。

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この記事を書いた人

日常で気になったことを調べて備忘録がてら記事にしています。
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