今まで25年間生きてきた中で実はウォシュレットを一度も使ったことがありません。
小学生の頃に妹が博物館のトイレに行った際に便座に座る位置が悪かったのか背中をウォシュレットの水で濡らして出てきたことがあったため、それ以来なんとなく使用を避けてきて今に至りました。
そんな私でしたが近頃トイレットペーパーでお尻を拭きすぎているのかかぶれてきたのでお尻に優しいウォシュレットの使用を検討するようになりました。
そこでなんとなく今まで抱いていたウォシュレットの水が不潔なのでは疑惑を払拭すべく調べてみることにしました。
ウォシュレットの水はどこからくる?
ウォシュレットから出てくる水は、どこから来るの?(女性/東京都/32歳)
「まず水道水がトイレに入ると、トイレのタンクに貯める水とウォシュレットで使う水の二手に別れます。瞬間式の場合は、ウォシュレットを使用する時に電気で温められ、吐水されています」
マイナビニュース
マイナビニュースのTOTO社員へのインタビューニュース記事にウォシュレットについて色々と記載されていた中に回答がありました。
ウォシュレットの水はトイレタンクの水とは独立したルートでやってくる水道水のようです。
なるほど、水自体は清潔であることが期待できそうですね。
そこで気になるのがノズルです。
水が綺麗でも通るノズルが不潔であればウォシュレットを介して何かしらの雑菌やウイルスに感染してしまうかもしれません。
家ならともかく外出先のトイレは自分でコントロールできない環境なだけに気になりますよね。
やはり公衆トイレのウォシュレットは汚い・・・。
ネットで公衆トイレやコンビニのトイレのウォシュレットについて色々調べてみたところ、エビデンスのあるソースはないものの不潔であるという元アルバイトなどの書き込みは多く見受けられました。
自宅のトイレ掃除をする時でも黒ずみを落としたり床を拭いたりはしますがウォシュレットのノズルの清掃にまでは思い至りませんでした。
自身が排出する便自体が雑菌まみれなのでウォシュレットの水がどうこうで大した影響がないような気もしますがあまり気分が良いものでもありません。
そこで、ウォシュレットを介した細菌やウイルスなどの感染症例がないか調べてみることにしました。
多剤耐性緑膿菌による温水洗浄便座洗浄ノズルの汚染事例
2015 年 7 月,当院の血液腫瘍内科で入院していた患者から多剤耐性緑膿菌が検出された.その 後,環境付着菌検査を行った温水洗浄便座の洗浄ノズルから MDRP を検出し,アウトブレイクで あると判断し,感染対策を行った.アウトブレイクの一因として,清掃スタッフによる院内感染対 策上不適切な清掃方法が行われていたことが挙げられた.その他にも製造時期が古い温水洗浄便座 の洗浄ノズルにおいて,適切な清掃ができないなどといった温水洗浄便座を院内で使用する際に留 意すべき問題点も判明した.このことから,院内で使用している設備・機器の洗浄方法や導入など に ICT の積極的な介入が必要であることが改めて認識された
環境感染誌Vol. 33 no. 6, 2018
ウォシュレットを介した感染症の事例を検索すると「環境感染誌Vol. 33 no. 6, 2018」に掲載されていた医学系の文献を発見しました。
文献によると東海大学医学部付属八王子病院にてウォシュレットの不適切な清掃によって患者が多剤耐性緑膿菌に感染した症例について報告がされています。
患者Aの多剤耐性緑膿菌の感染を受けて院内のトイレの環境検査を行ったところ共用トイレ以外にも個室のトイレを含む5箇所から緑膿菌(うち2箇所からは多剤耐性緑膿菌)が検出されたそうです。
このように東海大学医学部附属八王子病院で緑膿菌が拡散した原因には設備的な要因と人的要因の2つが挙げられていました。
環境付着検査を実施した際,トイレに 設置されている温水洗浄便座の型式が古く,温水洗浄便 座の洗浄ノズルが日常的な清掃では簡便に清掃できないものがあることが判明した
出典:多剤耐性緑膿菌による温水洗浄便座洗浄ノズルの汚染事例
また,清掃スタッフによる病室の清掃状況を確認した. 清掃手順の中での大きな問題点として,トイレ清掃時に 便器周囲環境,便座,洗浄ノズル周囲に分けて,3 種類 の専用布クロスを使用し,各専用クロスを使いまわす方 法で全ての便器を清掃していたことが判明した.洗浄ノ ズルも 3 種類のクロスのうち 1 枚を洗浄ノズル専用とし て使いまわす方法で日常的に清掃が行われていた.加え て,清掃スタッフはトイレ清掃の際,トイレ毎に手袋を 交換していなかった.これにより,特に MDRP が検出 されていた温水洗浄便座の洗浄ノズルを清掃した際に汚 染されたクロスを他の温水洗浄便座を清掃する際にも使 用することで耐性菌の拡散に寄与したことが推測された
出典:多剤耐性緑膿菌による温水洗浄便座洗浄ノズルの汚染事例
最新のウォシュレットでは自動清掃機能などがついているので従来よりも清潔に使用できるようになっているようですが、古いウォシュレットではそのような機能は実装されておらず日常的な清掃では十分な清掃を行うことが困難であるようです。
また、清掃の際に専用クロスを使いまわしたことで緑膿菌が各病棟へと拡散した経緯もあることが報告されています。
今回は病院での事例でしたが不特定多数が使用するショッピングモールやコンビニのウォシュレットでは病院よりも感染症対策の意識が低いのでよりハイリスクな環境にあると言えるのではないでしょうか。
ウォシュレットを使うのはやっぱりやめておこう・・・。
既にウォシュレットの虜になっていてやめられない人は携帯ウォシュレットなる製品もあるようなのでチェックしてみてはいかがでしょうか。
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